06.置いてけぼり

 別に寂しいなんて思ってないけど。
 ふと、視界に入る高校生の集団。
 見たことのある制服が並んで歩いて、ヒカルはその中に見慣れた人影を見つける。

(…あいつ、今帰りか)

 食べずに居たら仕事の最後まで持たない。
 夕食とも間食ともつかぬ特大のハンバーガーをくわえながら、その集団が通り過ぎていくのをジーっと見つめた。

 風になびくスカートが、その手に持つ鞄が、いかにも女子高生って感じで。
 ヒカルは少し、憮然とする。

 そうして思い出す、いつかの会話。


『…なんだよ』
『…怒らない?』
『?あぁ』
『…時々、ね。ヒカルがもし高校生になってたらどうなってただろう、って思う事があるの』
『………そんなの、俺だって』
『え?』
『お前と一緒に高校の制服着るのも悪くなかったな、って思った事、あるぜ』


 ――そう、思ったのは、本当の話。

 ……別に、寂しいわけじゃないんだけど、さ。

 ただちょっと、お前が―――――から。
 悔しい、とか。思っただけだよ。



*ごごごごごめんなさ…!(逃走準備)
見覚えがある方がいらっしゃると思います。ホントすいません。アンケートのお礼の小話から一部だけ拝借しました。その後だと思ってください。
あ、使える、と思ったりして…(ごにょごにょ)