15.独りじめ

 あかりのもはおれのもの。
「あれ?これ俺のじゃない」

 手にしたものに違和感を覚え、まじまじと見る。使い古した細身のシャープペン。使い慣れた自分の物とは、あきらかに違う。

 ――それなら、あかりちゃんのものではありませんか?
   昨日来たときに忘れていったのかもしれません。

 俺の独り言のような疑問に、佐為がひょいと身を乗り出し答える。
 昨日そこでノートを開いていたあかりを思い出し、なるほどな、と思う。

「ま、いっか」

 ――返さないのですか?

「別にいいだろ。ペンの一本や二本」

 ――ですが、

「あかりのものは俺のもの」

 ――………ヒカルったら…

 単純に言葉どおりに取ったのだろう。佐為は呆れたように嘆息を漏らす。
 もちろん言葉以外の意味なんてないけど。

「あ、ちなみに俺のものも俺のものな」

 ――全部ヒカルのですか?

「そうそう」

 わざとらしく、自慢げにうなずくような動作をする。

 ――あかりちゃんのおやつも?

「そうそう」

 ――本とか

「当然だな」

 適当に相槌を打っては、適当に答えて。
 そんな俺に、何かをひらめいたかの様に、佐為が嬉しそうに言った。

 ――じゃあ、あかりちゃんもヒカルのものですね

「そうそ…――――!?」

 ――へーぇ、そうなんですかー

 そう言って佐為がにやりと笑う。
 なんてこと聞くんだテメェ!

「違う!要らねぇよあんな奴!」

 ――ヒカルったら照れ屋さんですね

「ちーがーうーっ」

 否定する俺の声が一人しか居ないはずの部屋に響いて、その後下に居るお母さんに煩いって怒られた。
 覚えてろよ佐為!



*ヒカルは独占欲強いとおもう。
きっと大人にというかあかりちゃん捕まえたら俺のものってゆっちゃうと思う。
そんであかりちゃんに怒られるといいと思う。
出来ればあかりちゃんにも「ヒカルのもは私のもの!」ってゆってヒカルを困らせて欲しいと思う。
そんな私の頭の中はどうかしていると思う。