29.最初はグー
「ヒカル、お願いがあるの!」
久しぶりに会った平日の夕方、どうやら部活帰りらしいあかりが、俺の部屋に来るなりそういった。相変わらずな長い髪と、見慣れない高校の制服。だけど中身は変わっていなくて、やけに真剣な顔で俺に詰め寄るように言った。
「何だよ」
「私と勝負して!」
「は?」
「私と勝負して、勝ったらお願い聞いて欲しいの!」
…それはまた、随分チャレンジャーな話ですねあかりさん。
なんて心の中で突っ込みながら、あかりの次の台詞を待つ。
「ね、いい?」
「いいけど…勝負って碁だろ?」
「うん!」
「はなから勝負見えてるじゃねーか」
「やってみなくちゃわからないわよ!」
いえそうは言いますけどあかりさん。
お前は俺に今まで一度たりとて勝ったことなんて無いと思いますが。
そんな俺の心中を察したのか、あかりが、いいの!やるの!とベッドの脇に置いておいた碁盤を取り出す。よほどその『お願い』とやらを聞いて欲しいんだろう。せっせとその準備をする。
「なぁ、お願いって何」
別に勝負なんかしなくとも。
滅多にわがままなんていわないんだから、いくらでも聞いてやるのに。
だけどあかりはそれじゃ納得しないらしい。
勝ったらね、の一点張りで。さぁやろう!と腕まくりをせんばかりに盤上をにらんだ。
…仕方ない。
「手加減はしないからな」
「もちろん!」
そうして二人、いつものようにお願いしますと会釈して。
戦いの火蓋は切って落とされた。(…って、ちょっと大げさか)
が、決着がつくのも早かった。
久しぶりに会った平日の夕方、どうやら部活帰りらしいあかりが、俺の部屋に来るなりそういった。相変わらずな長い髪と、見慣れない高校の制服。だけど中身は変わっていなくて、やけに真剣な顔で俺に詰め寄るように言った。
「何だよ」
「私と勝負して!」
「は?」
「私と勝負して、勝ったらお願い聞いて欲しいの!」
…それはまた、随分チャレンジャーな話ですねあかりさん。
なんて心の中で突っ込みながら、あかりの次の台詞を待つ。
「ね、いい?」
「いいけど…勝負って碁だろ?」
「うん!」
「はなから勝負見えてるじゃねーか」
「やってみなくちゃわからないわよ!」
いえそうは言いますけどあかりさん。
お前は俺に今まで一度たりとて勝ったことなんて無いと思いますが。
そんな俺の心中を察したのか、あかりが、いいの!やるの!とベッドの脇に置いておいた碁盤を取り出す。よほどその『お願い』とやらを聞いて欲しいんだろう。せっせとその準備をする。
「なぁ、お願いって何」
別に勝負なんかしなくとも。
滅多にわがままなんていわないんだから、いくらでも聞いてやるのに。
だけどあかりはそれじゃ納得しないらしい。
勝ったらね、の一点張りで。さぁやろう!と腕まくりをせんばかりに盤上をにらんだ。
…仕方ない。
「手加減はしないからな」
「もちろん!」
そうして二人、いつものようにお願いしますと会釈して。
戦いの火蓋は切って落とされた。(…って、ちょっと大げさか)
が、決着がつくのも早かった。
*ちょっと無理矢理ですが(笑) 続きます。→30.誰が泣かした?